シリカゲルとは?性質・製法を総まとめ!【高校化学】

シリカゲルとは?性質・製法を総まとめ!【高校化学】

「シリカゲルの作り方、手順が多すぎぃ!」

あなたもこんな風に思っていませんか?

確かに、
二酸化ケイ素に水酸化ナトリウムを入れて加熱し、
できたケイ酸ナトリウムに水を入れて加熱して…
なんて考えてしまうと、頭に何も残りません。

シリカゲルの作り方が頭に残らないのは、
各工程の化学反応の意味を理解しておらず、
ただ闇雲に丸暗記しているからです。

ここではシリカゲルの作り方を仕組みから解説していきますね。

ここの内容を理解することで、
シリカゲルの作り方を本質的に理解でき、
一度見れば試験まで忘れなくなります。

ぜひ最後まで読んでみてください。

シリカゲルとは?

シリカゲル」とは、
お菓子などに入っている乾燥剤のことです。

シリカゲルは多孔質(穴が多い)構造のため、
水を取り込みやすくなっています。

シリカゲルはガラスの原料である、
二酸化ケイ素SiO2から作られています。

以下ではその製法を確認していきましょう。

シリカゲルの製法

シリカゲルの材料となるのは、
二酸化ケイ素SiO2です。

SiO2は天然には石英、水晶などとして存在します。

これからもわかるように、
SiO2は共有結合結晶です。

つまりSiO2は分子式ではなく、
組成式であることに注意しましょう。

それではこの構造が、
どのように変化していくのかを見ていきます。

以下では無機化学の反応を利用してシリカゲルを作っていきます。無機化学反応が不安な人は以下も参考にして見てください。
【合わせてチェック】
【永久保存版】無機化学の反応はたった6つ!

①SiO2からNa2SiO3を作る

まずは「中和反応」を利用してNa2SiO3を作ります。

反応式を先に示しておくと以下の通り。

\[
\mathrm{SiO_{2} + 2NaOH → Na_{2}SiO_{3} + H_{2}O}\]

それでは反応式の作り方です。

中和反応の作り方のところで練習した通り、
SiO2形式的に水を足し
NaOHと中和させます。

実際に水がSiO2とくっついているわけではなく、
あくまで形式的であることに注意しておきましょう。

実際には固体のSiO2と反応させるため、
加熱」を行う必要があります。

また、NaOHではなくNa2CO3を使う場合もあります。

\[
\mathrm{SiO_{2} + 2Na_{2}CO_{3} → Na_{2}SiO_{3} + CO_{2}}\]

以上の工程でできたNa2SiO3は以下のような構造です。

中和反応の反応式に不安がある人は以下もチェック!
【合わせてチェック】
中和反応の仕組み

②Na2SiO3を水に溶かす

Na2SiO3に水を加えながら加熱し、
水に溶かしこみます。

ただしNa2SiO3は分子式ではなく組成式で、
分子量が大きいから加熱しないとうまく溶けないのです。

このようにしてできるのが「水ガラス」です。

Na2SiO3は細長い構造で、
水に溶かすとお互いの分子が絡まりあってしまいます。

これによって水ガラスは、
かなり強い粘性を持っています。

③HClを加えてH2SiO3を作る

水ガラスからケイ酸H2SiO3を作ります。

H2SiO3は弱酸ですから、
HClを加えて弱酸遊離反応を起こしましょう。

\[
\mathrm{Na_{2}SiO_{3}+2HCl→H_{2}SiO_{3}+2NaCl}\]

これによって白色のゲル状物質が沈殿してきます。

ケイ酸H2SiO3の構造は以下の通り。

④一部を脱水し、シリカゲルを得る

最後にH2SiO3を加熱して一部脱水することで、
シリカゲルを得ることができます。

この構造式からわかる通り、
シリカゲルにはたくさんの穴が空いており、
その穴には-OH基があります。

これによってシリカゲルは乾燥剤として働くのです。

これからもわかるように、
シリカゲルは適度に-OH基が残っていることが重要です。

だからH2SiO3をほどほどに脱水するため、
シリカゲルの化学式は(SiO2)n(H2O)mなどと書かれます。

まとめ

SiO2からシリカゲルを作る流れをまとめると、
以下のようになります。

どの工程も特別なことはやっておらず、
すべて無機化学反応を利用しているだけですね。

さらに反応後の構造を意識すると、
それぞれの性質もよくわかると思います。

ぜひこのような「ストーリー」を意識して、
頭に入れておいてください。

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