繊維総まとめ!天然繊維・化学繊維【高校化学】

繊維総まとめ!天然繊維・化学繊維【高校化学】

高校化学の繊維の分野は、
知識の量も多く頭の中で整理が難しいです。

この記事では、
大学入試レベルで理解しておくべき繊維の知識を、
網羅的にまとめておきました。

ここの内容をきちんと理解すれば、
もう入試までに繊維を復習する必要はなくなり、
当日も満点を狙えます。

再生繊維、半合成繊維など、
意外とトリッキーな内容もあるので、
ぜひ最後まで読んでみてください。

繊維の分類

繊維には大まかに、
自然の素材をそのまま利用する「天然繊維」と、
化学的に合成する「化学繊維」があります。

そしてさらに、
その性質や合成法によって以下のように分類されます。

今回はこれらについて、
1つ1つ確認していきましょう。

天然繊維

天然繊維」は、
植物の毛や茎を利用した「植物繊維」と、
動物の毛を利用した「動物繊維」に分けられます。

植物繊維としてはワタや麻、
動物繊維としては羊毛や絹をイメージするといいでしょう。

植物繊維の多くは、
植物に多く含まれるセルロースが主成分になることが多いです。

一方で動物繊維は、
羊毛のケラチン、絹のフェブロインなど、
タンパク質が主成分になっています。

有名な天然繊維の性質を、
下の表にまとめておきました。

タンパク質は酸・塩基によって「変性」を起こします。セッケンは通常弱塩基性なので、動物繊維をセッケンで洗うのは好ましくありません。
【合わせてチェック】
セッケンの原理・製法!合成洗剤まで解説【高校化学】

化学繊維

化学繊維」は、
石油などから合成する「合成繊維」、
天然のセルロースをうまく利用する「再生繊維」、
天然のセルロースを加工して使う「半合成繊維」、
などに分けられます。

ナイロンやアクリル繊維など、
日常でもよく聞くのが合成繊維です。

まずは合成繊維から確認していきましょう。

合成繊維

合成繊維は、
合成高分子化合物を繊維として利用します。

合成高分子化合物は以下の記事にまとめているので、
気になる人は読んでみてください。

合成高分子化合物をわかりやすくまとめてみた

合成繊維は合成高分子と同様、
①付加重合で作られるもの
②縮合重合で作られるもの
③開環重合で作られるもの

に分けることができます。

①付加重合で作られるもの

付加重合で作られるものをまとめると以下の通り。

ともにビニル系の合成高分子です。

ビニロンについては少し補足をしておきます。

ビニロンの材料は「ポリ酢酸ビニル」で、
その側鎖を以下のように変化させることで作られます。

ビニロンは日本で初めて作られた合成繊維、世界でもナイロンに次いで2番目に作られた合成繊維です。

②縮合重合で作られるもの

縮合重合で作られるものをまとめると以下の通り。

6,6-ナイロンは非常に有名な合成繊維ですね。

ポリエチレンテレフタレートはPETボトルの材料で、
これを繊維状に加工すれば合成繊維としても使えます。

③開環重合で作られるもの

開環重合で作られるものは以下の通り。

高校レベルでは、
開環重合で覚えておくべきものは「ε-カプロラクタム」だけです。

生成物の「6-ナイロン」も、
先ほどの6,6-ナイロンに似た構造ですね。

再生繊維・半合成繊維

天然のセルロースは、
水素結合によってシート状になっています。

これを繊維として利用するためには、
シート状の構造を壊して繊維状に加工する必要があります。

再生繊維」は、天然のセルロースを一旦壊して再生したものです。

一方、「半合成繊維」は、
天然のセルロースを化学変化させて、
別の物質に加工したものです。

これらに関しては以下で詳しく解説しているので、
ぜひそちらも読んでみてください。

再生繊維と半合成繊維の違いは?製法も合わせて解説【高校化学】

まとめ

高校化学で勉強する繊維は、
以下の通りです。

また、再生繊維と半合成繊維は以下です。
【合わせてチェック】
再生繊維と半合成繊維の違いは?製法も合わせて解説【高校化学】

まとめてチェックできる機会はあまりないので、
ぜひこの機会にきっちり理解していきましょう。

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