コロイドは少し影の薄い分野のわりに、
意外と覚えるべき知識が多いので、
あなたも苦手に感じていませんか?
「凝析と塩析、どっちだっけー?」
なんて思っている受験生も多いと思います。
しかしコロイドの知識は、
一度まとめて確かめてしまえば、
特に複雑なところはありません。
この記事ではコロイドの性質を総まとめします。
この記事を最後まで読むことで、
画像でわかりやすく知識を補完でき、
試験の点数に直結する理解が得られます。
是非最後まで読んでみてください。
目次
コロイドの分類
「コロイド粒子」とは、
直径10-7〜10-9m程度の粒子のことです。
原子の大きさが10-10程度であることを思えば、
コロイド粒子はかなり大きな粒子ですね。
そしてコロイド粒子が水に分散したものが、
「コロイド溶液」です。
身近なコロイド溶液の例が抹茶ですね
お湯に茶葉を入れて必死に混ぜることで、
水中に茶葉が分散してコロイド溶液になっているのです。
分散の仕方はこれ以外にも様々で、
分散の様子ごとに以下のように名前がつけられています。
例えば豆腐や寒天などは固体に粒子が分散したコロイドになっています(ゲルと呼ぶ)。
コロイド溶液の性質
コロイド溶液は、
通常の水溶液にはない独特な性質を示します。
それが、
・チンダル現象
・ブラウン運動
・透析
・電気泳動
です。
チンダル現象
コロイドは粒子がかなり大きいため、
光をあてると「散乱」を起こします。
これによってコロイド溶液に、
光の筋が見える現象を「チンダル現象」と言います。
ブラウン運動
コロイド粒子は熱運動で不規則に動き回ります。
これを「ブラウン運動」と言います。
かの有名なアインシュタインは、
ブラウン運動を理論的に説明しました。
これによって、
当時曖昧だった分子の存在が確認されたのです。
透析
コロイド粒子は粒が大きいため、
半透膜を通過することができません。
よって不純物が混ざったコロイドを半透膜に入れれば、
小さな分子やイオンのみが外に出ていきます。
このようにしてろ過をすることを「透析」といいます。
電気泳動
コロイド溶液は、
正か負かの電荷を帯びることによって、
互いに反発しあって分散しています。
そのためコロイド溶液に電圧をかけると、
正コロイドは負極へ、負コロイドは正極へ、
移動していきます。
この現象を「電気泳動」と言います。
正コロイドなのか負コロイドなのかは、
個別のコロイド粒子ごとに異なるため、
個別に覚えておくしかありません。
受験レベルのコロイドの正負は、
以下にまとめておきました。
疎水コロイドと親水コロイド
水と親和性が低いコロイドを「疎水コロイド」、
水と親和性が高いコロイドを「親水コロイド」といいます。
これらの違いによって物理的な性質が変わってきます。
疎水コロイドの性質
疎水コロイドは水と親和しないため、
水和して水に溶け込むことができません。
これは特に、
水酸化鉄(Ⅲ)、炭素、硫黄、粘土
などの無機化合物のコロイドに多いです。
疎水コロイドはあまり水和しない分、
電荷の反発によって分散しています。
疎水コロイドに少量の電解質を加えると、
すぐに電気的反発を失ってしまい、
コロイド粒子が沈殿してしまいます。
このような現象を「凝析」と言います。
疎水コロイドの分散の仕組みを知っていれば、
かなり理解しやすいですね。
親水コロイドの性質
親水コロイドは水と親和性が高く、
水和によって分散しています。
これは特に、
たんぱく質、でんぷん、セッケン
などの有機化合物のコロイドに多いです。
水和によって安定しているため凝析はしませんが、
電解質を大量に加えると水和水が奪われ、
コロイド粒子が沈殿してしまいます。
このような現象を「塩析」といいます。
コロイドの水和に使われていた水が、
代わりに電解質イオンの水和に使われていき、
コロイド同士がまとまってしまうのですね。
保護コロイド
少量の電解質で凝析してしまう疎水コロイドに、
電解質で沈殿しにくい親水コロイドを入れると、
以下のように沈殿が起こりにくくなります。
なんとなくセッケンのミセルのような雰囲気です。
疎水コロイドを守るために用いる
親水コロイドを「保護コロイド」と言います。
保護コロイドの例には、
・墨汁中のにかわ
・インク中のアラビアゴム
などがあります。
この辺りは完全に覚えるしかないですが、
これだけなので頭の片隅に残しておきましょう。
疎水コロイド・親水コロイドまとめ
疎水・親水コロイドの性質を、
以下の表にまとめておきました。
一度まとめて確認しておきましょう。
まとめ
今回はコロイドの性質をまとめました。
コロイドは復習の機会も少なく、
知識が曖昧になりがちです。
細かい部分ではありますが、
確実に押さえておきましょう。
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