「力の図示のコツがわからない」
「いつも必要な力を書き忘れてしまう」
力学の問題を解いていて、
このようなことを感じたことはありませんか?
力は目に見えないものだし、
「垂直抗力」とかいう変な力も出てきて、
なかなかイメージしづらいと思います。
あなたが力の図示がうまくいかないのは、
力をイメージする力がないわけではなく、
力の図示の「型」を知らないからです。
ここでは誰でもできる力の図示の方法を解説しますね。
この記事を最後まで読むことで、
思考停止状態でも力の図示ができ、
力学の問題を解くスピードもアップするでしょう。
初心者にもわかりやすく書いたので、
ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
力の図示に必要な2つのこと
・接触力と遠隔力
・作用反作用の法則
力学の勉強に慣れていない人だと、
力の図示をするだけでも一苦労だと思います。
特に、
「書き忘れている力はないかな…」
なんて心配になることも多いでしょう。
しかし実は、
力の図示はたった2つのことを理解すれば、
力を書き忘れることはありえません。
その2つの知識とは、
①接触力と遠隔力
②作用・反作用の法則
です。順番に見ていきましょう。
①接触力と遠隔力
「接触力」とは、
物体と物体が触れ合ったところに働く力です。
物体が触れ合っているのであれば、
必ず接触力が働きます。
これをよく理解しておいてください。
そして次に「遠隔力」とは、
接触力でない全ての力を指しており、
とりあえず重力のことだと思ってください。
つまり物体が触れ合うところに必ず接触力が、
それ以外の力としては重力だけが働くことになります。
②作用・反作用の法則
リンゴを持ち上げようとすると、
重さ、手応えを感じることができます。
リンゴに力を与えようとする時、
同時に手もリンゴから力を受けているのです。
このように力を与える時に、
必ず逆向きの力が生じることを、
「作用・反作用の法則」といいます。
先ほどの接触力と遠隔力に関して、
作用・反作用の法則を考えてみましょう。
まず接触力では、
必ず接触面に作用と反作用が働きます。
例えば以下の図の物体Aと物体Bについて、
物体Aが物体Bに垂直抗力を与える一方、
物体Bが物体Aに垂直抗力の反作用を与えています。
このように物体が接触するごとに
2つの力が発生するのです。
次に遠隔力である重力です。
物体が重力によって引っ張られる分、
地球が重力の反作用によって引っ張られています。
地球は大き過ぎて反作用の影響は無視でき、
重力だけは反作用を無視することができます。
力の図示はたった2STEP
①重力を書く
②作用反作用の法則に従い、
接触力を書く
・接触力と遠隔力
・作用反作用の法則
を理解すれば、もう力の図示は簡単です。
まずは①反作用を気にしない重力を書き、
そして②物体のすべての接触面に対して、
作用と反作用に当たる力を書きましょう。
それでは具体例と一緒に確認してみます。
①重力を書く
まずは遠隔力である重力を書きます。
重力にだけ反作用がないので、
意識して先に書いてしまいましょう。
②作用反作用の法則に従い、接触力を書く
次に接触力を書きます。
接触力は、物体が触れれば必ず生じるので、
一つ一つ忘れないように図示しましょう。
「物体Aから物体Bへの垂直抗力」
「物体Bから物体Bへの垂直抗力の反作用」
というように、どんな力かを明確に意識して書くとミスが減ります。
たったこれだけで完成です。
闇雲に図示するのではなく、
接触面1つ1つを処理していけば、
迷うことはないと思います。
力の図示の練習問題
最後に簡単な練習問題です。
前半は先ほどの図示自分でやってみる問題、
後半は次の「運動方程式」などで生きる内容になっています。
難易度は高くないと思うので、
気を張らずに解いてみてください。
問題
(2)物体A、物体Bに働いている力を列挙せよ。
例:物体○には重力と張力と…。
解答
(解答)
(1)手順通りにやりましょう。
コツは感覚で考えないことです。
①重力を書く
②すべての接触面に作用反作用を書く
基本はこれだけをしていくと以下のようになります。
接触力の作用反作用を全て考えるために床をいれました。だから床に対して、解答では物体Aと床の間の力しか書いていませんが、床の重力を書いた場合はそれでも問題ありません(床の定義が曖昧なため)。
(2)上の図で、
赤色で書いたのが物体Aに働く力、
青色で書いたのが物体Bに働く力です。
まとめると以下のとおり。
物体A
・重力
・床からの垂直抗力
・物体Bに押される力(垂直抗力の反作用)
物体B
・重力
・物体Aからの垂直抗力
まとめ
今回は力の図示の解説でした。
・接触力と遠隔力
・作用反作用の法則
さえ理解すれば簡単に図示できますね。
問題演習でうまくいかないのは、
作用反作用の関係を見逃しているか、
練習問題(2)でやった「何から何への力なのか」が曖昧になっている場合が多いです。
ぜひ何度か練習してみてください。
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