あなたは力学で登場する「力」を、
きちんと理解していますか?
「力」学と言うくらいですから、
力について理解しておくことは、
問題を解く上でも必要不可欠です。
と言うことで今回は、
高校力学で習う力をすべてまとめました。
この記事を読むことで、
力学で理解すべき力を網羅的に確認でき、
力学の全体像がインプットされるでしょう。
問題演習をするときにも、
かなり見通しがよくなるはずです。
ぜひ最後まで読み飛ばさずに読んでみてください。
高校力学で習う力の種類とは?
以前の記事で、
力の図示の方法について学びました。
しかし一口に「力」と言っても、
高校力学ではいろいろな力を習います。
ということで今回は、
力学の問題を解くために必要な力を、
まとめて確認していきましょう。
結論から言ってしまえば、
力学で理解しておくべき力は以下の通り。
①重力
②束縛力(垂直抗力、張力)
③摩擦力
④浮力
⑤弾性力
「ひえー、多いよー」なんて思わないで!
逆に考えれば「力」学と言っても、
理解する力はたったこれだけです。
これらを理解してしまって、
力の図示の方法と合わせれば、
どんな問題でも力を図示しきれます。
さらに運動方程式を用いれば、
力を加速度に変換することができます。
そして加速度の取り扱いができれば、
物体の運動が理解できます。
1つ1つの力を丁寧に説明するので、
順番に理解していってください。
力の種類
①重力
②束縛力(垂直抗力、張力)
③摩擦力
④浮力
⑤弾性力
基本的な問題を解くだけであれば、
以上の力を覚えてさえおけば、
あまり苦労はないでしょう。
まだ力学に慣れていない場合は、
各力が発生する条件を押さえておき、
早速問題を解いてみましょう。
そしてこの記事では、
各力の原因などに注目しながら、
詳しい解説をしていきます。
ある程度学習が進んでいる人は、
深く理解できているか、確認していってください。
①重力
「重力」とは地表の物体が受ける力のことで、
質量\(m\)の物体は鉛直下向きに大きさ\(mg\)の重力を受けます。
このときの定数\(g\)を「重力加速度」といい、
単位質量あたりの重力の大きさを表します。
単純な話、
1kgの物体にはg[N]の重力が、
10kgの物体には10g[N]の重力がかかるということです。
重力は地球と物体の間の万有引力に起因します。
具体的には、地球の質量を\(M\)、
地球の半径を\(R\)、物体の質量を\(m\)とすると、
\begin{align*}
重力 &= G\frac{mM}{R^{2}} \\
&= mg (g=\frac{GM}{R^{2}}は定数)
\end{align*}
となります。
地表では\(M\)と\(R\)が一定になるため、
万有引力が物体の質量\(m\)に比例し、
それを重力と呼んでいるということですね。
②束縛力(垂直抗力、張力)
「束縛力」とは、
物体が運動する軌道を制限するために
働く力のことです。
言葉では理解しづらいですね。
図で考えてみましょう。
物体には重力で下に落ちるはずが、
地面にめり込んでいくことはありません。
これは坂道でも一緒です。
また、紐で吊るされたときも、
重力で下に落ちずに止まっています。
ということは、
これらは重力に逆らう力が働いていないとおかしいですね。
物体の接触面の間で働き、
運動を束縛する力を「垂直抗力」といいます。
リンゴが机にめり込まないのは、
机がリンゴを押しているからということです。
また物体を紐が引っ張るときに、
紐な内部で働く力を「張力」といいます。
束縛力としては垂直抗力と張力を覚えておけば十分でしょう。
③摩擦力
「摩擦力」とは、
地面と物体が接触しているときに、
物体の動きに逆らうように働く力です。
静止している物体に力を加えていっても、
「静止摩擦力」が逆向きに働くため、
しばらくは動き出しません。
力を強くしていき、
「最大摩擦力」より力が大きくなると、
物体は動き出します。
そして物体が動いている間は、
「動摩擦力」と言う一定の力が働きます。
物体が止まっている間は、
加える力に対応した静止摩擦力がかかりますが、
動いている間は常に一定です。
次に摩擦力の大きさについて。
物体を地面に押し付けるほど、
摩擦が大きくなるイメージってありますよね。
このイメージ通り、
最大摩擦力と動摩擦力は垂直抗力に比例します。
最大摩擦力 \(F = \mu_{0}N \)
(\(\mu_{0}\)は静止摩擦係数)
静止摩擦力 \(F < \mu_{0}N \)
動摩擦力 \(F < \mu N\)
(\(\mu\)は動摩擦係数)
※一般に\(\mu\)<\(\mu_{0}\)
これらの大きさの関係を日本語で説明してみます。
力\(F\)を増やしていくと、
しばらくは静止摩擦力が働き動きませんが、
\(F=\mu_{0}N\)を超えると動き出す。
動摩擦力\(\mu N\)最大摩擦力より小さいため、
一旦動き出すと力が軽くなる。
このようなイメージです。
より正確に理解するためには、
具体的な問題に取り組んでみるのが早いでしょう。
④浮力
「浮力」とは、
物体を流体(液体のイメージ)内に入れると働く力です。
液体の中は、水深が深くなるほど、
水圧が高まっていきますから、
液体に物体を入れると以下のように力が働きます。
この力を全て足し算すると、
結果的に上向きの力だけが残るのです。
これが浮力の正体です。
より詳しい説明は以下で行うので、
興味がある人はそちらをどうぞ。
【合わせてチェック】
(浮力の記事は準備中です)
⑤弾性力
「弾性力」とは、
引っ張れば引っ張るほど強くなる、
バネに働くような力のことです。
正確には、
物体の移動距離(変位)に比例した大きさで、
その移動を妨げるような力を指します。
物体の変位\(x\)に比例するのだから、
数式で書けば\(F=-kx\)となります(kは定数)。
弾性力も単なる力の一種なのですが、
ある理由があって取り扱いが難しい力です。
その理由や取り扱いに関しては、
以下の記事をごらんください。
【合わせてチェック】
・力学の最難関!単振動とは?東大院生が徹底解説!【高校物理】
力がわかれば問題が解ける!
以上で力学で習う力は全てです。
あとは以下の力の図示を学べば、
どんな問題でも力を図示しきることができます。
そして運動方程式の使い方を学べば、
図示した力から加速度を求め、
そこから物体の運動を計算できます。
以上の記事をまだ読んでいない人は、
ぜひそちらにも目を通してみてください。
まとめ
と言うことで今回は、
高校力学で習う力のまとめでした。
①重力
②束縛力(垂直抗力、張力)
③摩擦力
④浮力
⑤弾性力
もし物理が苦手であれば、
「物体には絶対重力がかかって…」
「床と接触したら垂直抗力がかかって…」
と力が生じる条件を意識しておきましょう。
今回の記事の内容が曖昧でも、
少しずつ問題が解けていくと思います。
得意な人であれば、
今回の内容を自分でよーく考えて、
疑問があればコメントで質問してみてくださいね。
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